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尿検査

尿は腎臓で作られます。腎臓は血液から不要な物質を濾し取る臓器で、腎臓で作られた尿は、尿管を通って膀胱に集められ、ある程度の量が貯まると尿道を通じて排出されます。尿には様々な疾病によって、本来含まれるはずのないものが混じってきます。尿検査はこれをチェックします。腎臓系や尿路系の疾患を発見するのが目的ですが、これらの結果から糖尿病や肝臓病、膠原病や骨髄腫、がんなどの発見につながることもあります。

 

検査名 (略称名)

基準値 (単位)

説明

1

ブドウ糖 (US)

基準値 陰性(-)

腎臓はブドウ糖がかなり高値になっても、尿中に漏出させない仕組みになっています。血糖値が160~180mg/dlを超えないと、糖は尿中には出てきません。しかし、糖尿病などで血糖値がこれ以上に高くなると、腎臓での糖の処理能力が限度を超えて尿中に糖が漏れ出てきます。したがって、尿糖検査は糖尿病を見つけ出すスクリーニング(ふるいわけ)として行なわれますが、この数値が陽性であっても必ずしも糖尿病とはいえません。

2

タンパク質 (UP)

基準値 陰性(-)

尿蛋白の健康診断結果では腎炎、腎硬化症、尿路系感染症、尿路結石、ネフローゼ症候群、妊娠中毒、糖尿病性腎症、陣腫瘍、膀胱炎などを疑うことができます。ただし、蛋白質は尿に混じりやすいために、尿蛋白が陽性だから病気であるとは断定できません。

3

潜血 (UOB)

基準値 陰性(-)

尿潜血は尿に血液が混じっている状態で、腎臓か尿路のどこかで出血していることを意味しています。出血が起きるときは結石ができ、血管を傷付けている可能性が高いです。尿潜血の結果では腎炎、腎結石、腎癌、尿路結石、尿道炎、前立腺炎、膀胱炎などを疑うことができます。腎結石、尿管結石は腰痛の痛みが強く、比較的に診断しやすいです。しかし、腎臓癌や膀胱癌は初期症状がほとんどなく、尿検査で発見されることが多いです。

4

尿pH (PH)

基準値 4.8-7.5 (ph)

尿が酸性かアルカリ性であるかを調べる検査です。健康な人の尿は弱酸性です。この検査では、尿の酸性度をみてからだの異常をチェックします。基準値はpH4.8~7.5です。pH7.6以上だとアルカリ性です。アルカリ性の場合は、尿路感染症(にょうろかんせんしょう)や腎疾患などが疑われます。 一方pH4.7以下だと酸性です。酸性の場合は、糖尿病、呼吸性・代謝性のアシドーシス、発熱、アルコール中毒などが疑われます。

5

尿中ケトン体

基準値 陰性(-)

体内でエネルギー源としての糖が足りなくなったときに、その代わりに脂肪が分解されて生じる老廃物がケトン体です。尿中に検出されるケトン体を尿ケトン体といいます。糖尿病や食事がとれないとき、ダイエット中などに、尿ケトン体がふえます。尿ケトン体がふえると、尿は甘酸っぱいにおいがします。 検査結果が陰性(-)の場合は正常です。偽陽性(+-)、陽性(+)の場合は異常です。糖尿病の高血糖状態や飢餓状態などの疑いがあります。なお、下痢やおう吐、脱水時、妊娠中のつわりでも陽性を示します。

6

尿比重

基準値 1.010-1.025

尿には、体内で不要になったさまざまな成分(老廃物)が溶け込んでいるので、水より比重は高くなっています。腎臓になんらかの問題があると、尿が非常に濃くなったり薄くなったりします。この比重を測って腎臓の異常の有無を調べることができます。尿比重が高い値の場合、糖やタンパクが漏れ出していると考えられます。疑われる病気は、糖尿病、心不全、ネフローゼ症候群などです。尿比重が低い値の場合、腎臓の尿濃縮力が低下する慢性腎炎や尿崩症が疑われます。水分の過剰摂取や利尿剤の服用でも値が下がることがあります。

7

尿ウロビリノーゲン

基準値 弱陽性(+) 擬陽性(+-)

肝臓でつくられる胆汁(たんじゅう)色素であるビリルビンが腸の中で腸内細菌によって変化したものがウロビノーゲンです。ウロビノーゲンの一部は腸壁から吸収されて肝臓にもどり、血液中に入って腎臓から尿とともに排泄されます。しかし、肝臓や胆道(たんどう)系に異常があったり、赤血球が壊れる「溶血(ようけつ)」などで血液中のビリルビンがふえると、尿中に出るウロビノーゲンの量が増加します。ウロビリノーゲン定性検査は、採取した尿に試験紙を入れてウロビノーゲンが出ているかどうかを調べます。健康な人でもわずかに尿ウロビリノーゲンが出ているため、弱陽性(+)か偽陽性(+-)なら正常です。中等以上の陽性なら、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変などが疑われ、陰性の場合は胆道閉塞を考えます。ほかの肝機能検査などの結果とあわせて診断し、精密検査を行います。

8

尿ビリルビン

基準値 陰性(-)

ビリルビンとは、赤血球が肝臓で分解されるときにつくられる胆汁色素のことで、通常は肝臓から胆汁となって腸内に排出され、尿中には出てきません。肝臓や胆道(たんどう)に障害があると、血中にビリルビンがふえて尿中ビリルビンも増加します。検査結果が陰性(-)であれば正常です。弱陽性(+)、偽陽性(+-)の場合は、体質的黄疸(おうだん)などが疑われます。陽性(++)では、肝炎(かんえん)、肝硬変(かんこうへん)、肝がん、胆道疾患などが疑われます。

9

亜硝酸塩

基準値 陰性(-)

私たちは食物(主に野菜)から硝酸塩と呼ばれる物質を摂取しています。この硝酸は、主に消化管の上部から体内に吸収され、一部は唾液中に分泌されますが、ほとんどは腎臓から尿として排泄されます。膀胱炎などの尿路感染症のように尿中に細菌が繁殖していると、硝酸塩は細菌によって還元されて亜硝酸塩へと変化します。そのため、通常時の尿からは亜硝酸塩は検出されません。このように、尿中の亜硝酸塩の有無を調べることにより、尿路感染症であるかどうかがわかります。ただし、すべての細菌が硝酸塩を亜硝酸に還元できるわけではないので、尿中の白血球や尿沈渣の結果を踏まえて総合的に判断します。

10

尿中白血球

基準値 陰性(-)

腎臓を含めた尿路で、ばい菌が入れば白血球が集まってきて尿に混じることになります。最も多いのは膀胱炎や尿道炎で、膀胱や尿道にばい菌が入って起こります。このように尿の通り道(尿路)にばい菌が入ると白血球が尿に混じることになります。腎臓では腎孟炎や腎孟腎炎と呼びます。

11

尿中クレアチニン (Cr)

基準値 男:0.6-1.1 女:0.4-0.7 (mg/dl)

腎臓を含めた尿路で、ばい菌が入れば白血球が集まってきて尿に混じることになります。最も多いのは膀胱炎や尿道炎で、膀胱や尿道にばい菌が入って起こります。このように尿の通り道(尿路)にばい菌が入ると白血球が尿に混じることになります。腎臓では腎孟炎や腎孟腎炎と呼びます。

12

尿中微量アルブミン (Alb)

基準値 30未満 (mg/d)

尿中微量アルブミンは、糖尿病性腎症の初期に尿中に出てくる非常に少ない量のアルブミンを検出する検査です。アルブミンは生体内のタンパク質の主な成分で、体液の浸透圧を維持し、いろいろな物質の運搬を行う重要な物質です。糖尿病性腎症になって腎臓のろ過機能が低下した状態になると、本来ならば尿中へ排泄されないはずのタンパク質が排泄されてしまいます。

13

尿タンパク質/クレアチニン比 (尿P/C比)

基準値 0.2未満 (g/gCr)

尿P/C比は尿中のクレアチニン1gあたりのタンパク量です。尿P/C比0.3から0.5以上を常に認める場合は、精査(腎生検)が必要かどうかを検討します。

14

尿アルブミン/クレアチニン比 (尿Alb/Cre)

基準値 30未満 (mg/g・CRE)

尿中アルブミンは、尿蛋白の主成分です。健常人ではごくわずかに見られますが、腎糸球体の障害、機能低下に伴い血中から漏れ出て尿中排泄量が増加します。主に糖尿病性腎症の早期発見のために測定します。

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