血液一般検査
血液の代表的な成分である赤血球・白血球・血小板の数や形態、ヘモグロビン量、タンパク量、黄疸の有無を調べる検査です。
貧血や白血病、感染症などの診断に重要な検査です。
食事をすると栄養分が血液中に増えるため正しい検査ができませんので、空腹時に検査を受けるのが最適です。
下記の基準値は、検査方法や測定方法、測定機器、用いる試薬などにより値が異なりますので、絶対的なものではありません。
№
検査名 (略称名)
基準値 (単位)
説明
1
白血球数 (WBC)
基準値 男:4.1-6.1 女:3.9-6.3 (10^3/ul)
白血球は病原微生物などから体を防御するための免疫機構の主役となる血球です。炎症や感染症などの時に増加します。
2
リンパ球比率 (LY%)
基準値 男:45.2-68.8 女:24.5-38.9 (%)
一般に白血球といっているのは、5種類の重要な白血球(好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球)を総称しているもので、これを白血球分画といいます。これらの分画にはそれぞれ異なる形態・性質があり、正常な状態のときはそれぞれの占める割合が一定範囲内に保たれていますが、からだになんらかの異常が発生するとお互いの比率に変化が現れます。免疫の役割を担うリンパ球が増えるのはウイルス感染症、甲状腺機能亢進症、副腎の病気で、減少する場合は悪性リンパ腫、がん、白血病が考えられます。
3
単球比率 (MO%)
基準値 男:2.7-7.9 女:1.7-8.7 (%)
単球は好中球が食べ遺した細菌の後始末や、異物を取り込む働きをします。増加で予測できる病気は結核、梅毒、はしか(麻疹)などです。
4
顆粒球比率 (GR%)
基準値 54-60 (%)
顆粒球とリンパ球の割合は、交感神経と副交感神経のどちらに興奮が傾いているか現しています。
顆粒球が54~60%、リンパ球が35~41%が理想的な割合です。
5
リンパ球 (LY)
基準値 1500-4000 (/ul)
高値の場合、ウイルス感染症、リンパ性白血病、百日咳などが考えられ、低値の場合、エイズ、全身性エリテマトーデス、うっ血性心不全などが考えられます。
6
単球 (MO)
基準値 200-950 (/ul)
高値の場合、結核、膠原病、急性肝炎、肝硬変などが考えられます。
7
顆粒球 (GR)
基準値 4000-9000 (/ul)
顆粒球とは、細胞質内に多数の顆粒を含む多核白血球のことをいいます。顆粒の染色性により、好中球・好酸球・好塩基球にわけられます、顆粒球は、生体防衛機能、特に感染防御を担っています。機能の場は、血管外組織になります。
顆粒球の疾患としては、顆粒球減少症、無顆粒球症、白血病などがあります。顆粒球の減少には、細胞増殖を抑制する抗腫瘍剤、サルファ剤、抗甲状腺剤、金剤、抗精神薬、放射線障害が原因とされています。
8
赤血球数 (RBC)
基準値 男:427-570 女:376-500 (10^4/ul)
赤血球(RBC)検査は、貧血を診断するために行われます。貧血では、なんらかの原因によって、血中の赤血球数やヘモグロビン量が減少しています。このため、貧血の診断にはこの検査は必須となります。貧血と診断された場合は、貧血の種類やその原因となっている病気について検査されることになります。
9
ヘモグロビン濃度 (HGB)
基準値 男:13.7-17.4 女:11.3-14.9 (g/dl)
ヘモグロビン(血色素)は赤血球中の主成分で酸素の運搬を担うタンパク質の量。これらが基準範囲より少ない場合は貧血、多ければ多血症と診断します。
10
ヘマトクリット値 (HCT)
基準値 男:40.2-51.5 女:33.6-44.6 (%)
ヘマトクリットは血液中に占める赤血球の全容積の割合です。これらが基準範囲より少ない場合は貧血、多ければ多血症と診断します。
11
平均赤血球容積 (MCV)
基準値 男:83-101 女:79-99 (fl)
赤平均赤血球容積(MCV)検査は、貧血や多血症の診断に用いられる検査です。ヘモグロビン(Hb)、ヘマトクリット(Ht)とともに、赤血球数から赤血球1個当たりの平均容積(MCV)、平均血色素濃度(MCHC)などの赤血球恒数を算出し、貧血の病態分類が行われます。
12
平均赤血球ヘモグロビン量 (MCH)
基準値 男:28.1-34.5 女:26.3-33.6 (pg)
平均赤血球血色素量(MCH)検査は、貧血や多血症の診断に用いられる検査です。ヘモグロビン(Hb)、ヘマトクリット(Ht)とともに、赤血球数から赤血球1個当たりの平均容積(MCV)、平均血色素濃度(MCHC)などの赤血球恒数を算出し、貧血の病態分類が行われます。
13
平均赤血球ヘモグロビン濃度 (MCHC)
基準値 男:31.8-36.4 女:31.1-36.2 (%)
平均赤血球血色素濃度(MCHC)検査は、貧血や多血症の診断に用いられる検査です。ヘモグロビン(Hb)、ヘマトクリット(Ht)とともに、赤血球数から赤血球1個当たりの平均容積(MCV)、平均血色素濃度(MCHC)などの赤血球恒数を算出し、貧血の病態分類が行われます。
14
赤血球分布幅「CV法」 (RDW-CV)
基準値 11.5-13.8 (%)
小球性の貧血の診断に有用です。赤血球容積粒度分布幅(RDW)は自動血球計数装置で決定される指標で貧血の分類に有用でRDW-SDとRDW-CVがあります。RDW-CVは小球性貧血の指標として用いられます。
15
赤血球分布幅「SD法」 (RDW-SD)
基準値 38.8-50.1 (%)
RDW-SDは赤血球の大小不同の定量的指標として用いられます。
16
血小板数 (PLAT PLT)
基準値 男:13.1-36.5 女:12.5-37.5 (10^4/ul)
血小板は、止血機構の中心を担う血球成分です。自己抗体やDICなどによる消費の亢進、骨髄疾患や肝硬変で減少をみます。 血小板は止血機構の中心を担う血球成分です。
17
血小板濃度 (PCT)
基準値 0.16-0.35 (%)
血中PTC濃度は、全身性感染症、特に細菌感染症で上昇しウイルス感染症や局所の細菌感染ではほとんど上昇が認められません。
18
平均血小板容積 (MPV)
基準値 10.2-13.2 (fl)
血小板容積の平均をみています。簡単に言えば、血小板の大きさということになります。MPVが大きくなる疾患としては、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)が代表的です。。一方、MPVが小さくなる疾患としては、再生不良性貧血が代表的です。これらの疾患では、骨髄からの血小板産生が低下しています。そのため流血中の血小板は長い経過をとっていることになります。血小板は小さく(MPVは小さく)なる訳です。
19
血小板分布幅 (PDW)
基準値 15-17 (%)
血小板容積の分布幅を反映しています。小さい血小板から大きい血小板まで広く分布していますと、PDWは大きくなります。通常、MPVが大きいとPDWも大きくなります。たとえば、ITPでは、MPVは大きいですが、PDWも大きくなります。一方、PDWが小さくなる疾患としては、再生不良性貧血が代表的です。血小板産生が低下しているため、MPVが小さい血小板が多くなります。そのためPDWも小さくなります。